腰の手術をしたのにも関わらず、再び覚えのある痛みが出たときは大変つらいものだ。
椎間板ヘルニアは、症状が改善されても、また再発して痛みやしびれが出てくることがある。
「せっかく治ったと思ったのに…。」と、苦しんでいた記憶があるだけに、また腰痛に苦しむ生活に戻るのかと思うと不安でたまらない。
しかし痛みが再発をしても安心してほしい。改善できる。
このページではヘルニアの手術をして、その後また腰の痛みが再発した一人の体験談と合わせ、そのときの対処法をまとめて解説している。
- 目次
【体験談】ヘルニアの手術後、痛みが再発した
【現在31歳 デスクワーク】 自動車整備士の仕事をしていたAさんの体験談
当時、私はバイトをしたりサッカーをしたりと一般的によくいる学生で、今まで大きな怪我をしたことは一度もありませんでした。
はじめて腰に痛みを感じたときのこと
電車で通学して、学校が終わると接客のバイト。重い物を運んだり激しく動いたりしたときは「腰がいたいなー」となんとなく感じることはありましたが、すぐに治るだろうと楽観的に考えて過ごす毎日でした。
しかし、ある日歩いて家に帰る途中、腰に鈍痛がありました。
今までは腰に痛みがっても、”よくあるような痛み”程度だったのですが、この日は歩いて足を出すたびに生温いというのか、どことなく腰に鈍い感覚があり、足を出すたびに違和感がありました。
それでも「なんか腰がおかしいなー」程度に思っていて、特に気にもとめず病院には行きませんでした。違和感はあったものの勝手に治るだろうと放っておいたのです。
しかしそれからも足腰が重たいような、どことなく痛いような感じが続きました。
数日後、入社予定だった会社の歓迎会がありお酒を飲んだところ、これがきっかけとなり次の日から歩けないほど腰が痛くなりました。
病院に行くと椎間板ヘルニアと診断される
満足に歩くこともできなくなり、初めてただの腰痛じゃないと気付きました。前兆はたくさんあったはず……。今思うと大変遅かったと思います。
朝からすぐに親に病院に連れて行ってもらい、レントゲンやMRIを撮ったりしました。診断の結果、第5腰椎の椎間板ヘルニアでした。
坐骨神経痛とすべり症でもあったらしく、それからはブロック注射を打ったり、できるだけ寝て安静にしたり自然療法をしていました。でも、一向に治る気配がありませんでした。
数ヶ月経ち、まだ知識もなかっただけに病院に行って注射を打ってもらったり、ロキソニンを飲んで安静にいしていれば治ると信じていましたが、そうはならず痛いまま。
精神的に落ち込み、このままではダメだ、学校を卒業するまでには治そう。と、意を決してヘルニアの手術することにしました。
ヘルニアの手術をする
傷が小さくて済むという内視鏡の手術でした。手術の前後を含めて入院期間は5日間ほどだったと思います。
このとき初めて全身麻酔を体験したのですが、こんな一瞬で意識を失うものなんだと驚いた記憶があります。手術は特に何もすることがなく、簡単に終わりました。
手術後、病院で目を覚ましてからも「これで終わったのかな。。」という不安がありました。麻酔もとれて手術の痛みが残っていたので、腰の痛みがどれなのかよく分かっていなかったと思います。
ただ、3日後あたりから足のしびれや以前に感じていたヘルニアの痛みがないことが徐々に分かってきました。
このとき、やっと治ったんだ……と涙が出そうになったのを覚えています。
ヘルニアの手術後、痛みが再発する
ヘルニアの手術をした後は痛みもしびれもなく、めでたく学校を卒業し、晴れて自動車整備士になりました。
それから1年ほどの期間は何不自由なく働いていましたが、ある日仕事中に、車のボンネットを前かがみで中腰の姿勢で見ていたところ、覚えのある鈍痛が腰に走りました。
(もしかしてヘルニアの再発か…。)
そんな不安が頭をよぎり、手術後は重いものを持っても大丈夫だったのに、このときから痛みが出てくるようになりました。
車の運転するのに気は使うし、悪化してるような気もする。
徐々に仕事に支障が出始め、私は県内で有名な整体院に行くことにしました。
整体院に通う。ふいに整備士の仕事を辞める
整体院に行き今まであったことを伝えました。足の動きなど確認されたような覚えがあるのですが、何をされたのかはあまり記憶にありません。
特に「バキッ!」といったようなことをされたわけでもなく、運動やストレッチ方法を教えられた記憶があります。
私は(またヘルニアの生活がやってくるのか……)と、とても憂鬱でした。
再発する人がいることは聞いていました。
でも1年も大丈夫だったのに……。また足がしびれたり、坐骨神経痛の、あのお尻の骨の激痛がやってくる日々に戻るのかと思うと絶望でしかありません。
整体師の人が普段から重いものを持ったり姿勢の悪い生活をしていると、治ったとしても再発する人が多いと言っていました。私の仕事はまさしくその通り。
治すためには生活環境を変えることと、無理せずに腹筋することなど具体的に数点教えてもらいました。
ただ、私はもう気分が沈んでいて「どうせ治らないんだろう…」と適当に話を聞きながら、どこかで諦めていました。
それからも何も変わらず仕事を1ヶ月ほどしていました、痛いままに。
このずっと我慢しながらの生活に、私は当時まだ独身だったこともあり、ふと思いました。
「なんでこんなに無理しているんだろう?」
疑問に思い、考えが若かったことも手伝ったと思います。転職先も探さないまま、私は勢いで2ヵ月後に会社を辞めました。
あのとき味わった「もう二度と走り回ったり、動けないかもしれない」という恐怖に比べると、辞めることへの悩みは小さなものだったのです。
セルフケアを始める。現在の症状
それから、また学生時代のようにできるだけ安静にする生活に戻りました。
ただ、今まで毎日仕事をしていたのであまりに時間を無駄にしているように思い、先生が教えてくれた対処療法をすることにしました。
坐骨に痛みが出ないように、無理せずに腹筋を鍛える。鍛えるというより、ただ力を入れて筋肉を動かすようなものです。
ほかにも病院で処方されたコルセットは硬くて動きにくく坐骨が痛かったので、体になじむフィット感のあるものにしました。
そして、教えてもらったストレッチを毎日。あとは寝方も意識して変えました。
もう何度も「治したい」と思ってきましたが、これが最後だと、腰に負担をかけないように生活環境を見直しました。
手術前はブロック注射や鎮静剤で、あとは安静にするしかしていなかったんです。それで、いつか治ると信じていたから。
でもヘルニアが再発したとなれば、やれることはやるしかないといった感じです。
約2週間後
2週間たち少し改善しました。朝、目が覚めて顔を洗うとき、片手は洗面台で体を支え、もう一方の手で顔を洗う毎日だったのですが、そのとき姿勢を変えるとき痛くなかったのです。
ほんのふいのできごとだったので、すぐに姿勢を戻しましたが。
このとき本当に嬉しかったのですが、また痛みが戻り悲しい想いをするのが嫌だったので、すぐに自分をいましめ喜ばないようにしたのを覚えています。完治するまでは喜ばないと、心に決めていたんだと思います。
2〜3ヵ月後
それから毎日ずっと腰に気をつけて、腹筋を続けたり教えられたストレッチをしていると次第に痛みがなくなっていくのが分かりました。
2ヶ月ほどたったころ自分でも大丈夫と分かるほどに回復したので、ブロック注射を受けるをやめ、ストレッチを徐々に減らしてみたり、コルセットを外したり、またハローワークに行って就職活動をするといったように、少し活動的にして様子をみることにしました。
痛みの程度が元に戻らないかおそるおそるでしたが、大丈夫でした。おそらく、期間にして3ヶ月ほどで痛みなくほぼ普通の暮らしができていたと思います。
徐々にだったので、「治ったー!」という感覚ではありませんでしたが、毎日の積み重ねで、結果治ったんだなぁという感じです。
現在
現在はデスクワークをしています。腰を使う仕事でまた再発するのは怖かったので、整備士はやめました。
あれから年月が経ちましたが、この期間のあいだで痛みが再発したことは一度もありません。
引越しで重い物を1日運び、やや腰の様子がおかしいなという日はありましたが、特に痛みや足のしびれが出ることもなく、お尻の骨の痛みもまったくありません。
もう再発の心配はしていません。
思い出してみると当時は大変つらかったですが、ふと思い立ち、自分にできることをしたのが精神的によく、結果それが腰にもよかったのかなと思います。
これをしたから治るというのではなく、できることをただ黙々として、少し改善されたからといって喜ばず、沈まず。
再発してもただただ治すことだけを考えたあの3ヶ月が、今では本当に良い選択だったと思います。ヘルニアに悩まない日常生活は、本当に暮らしやすい。そう今でも思います。
ヘルニアが再発したときの対処法まとめ
Aさんの手術前・手術後に体験した点を踏まえて、対処法をまとめると3つに分けられる。
- 椎間板ヘルニアは早期発見により短期間で治すことができる。
- 手術の必要性については、医師に手術をすすめられた場合、痛みなくすことに大きな期待はできる。
- 医学療法と合わせ、セルフケアを怠らないことにより再発防止ができる。
Aさんの場合、運動やアルバイトなどで少しずつヘルニアの症状が悪化して、手術が適用されるまでになったと思われる。
そして、手術によって一度痛みはなくなったが、その後再発した原因は仕事で腰に負担をかけ続けた1年間が大きな要因だろう。
ただ一度苦しんだ経験があったため、セルフケアも踏まえて切り替えた点は大きい。
大事な点は、ヘルニアの痛みやしびれを改善する上でブロック注射や手術も大事であると共に、それに頼るだけでは”足りない”ということ。
ヘルニアの予防、再発防止について具体的な対処法
さいごに具体的にできる対処方法を並べる。
これはヘルニアの手術を考えている人や、自然療法をすすめている人でも同じことが言える。
- 病院や整体院に行き、症状や原因をしっかりと把握する
- 自分が治すために何ができるか、何をすべきか聞く・知る
- 日常生活において、できるだけ環境を変えようと意識する
- 腰に負担をかけないように腹部の筋力をつける
- コルセットにより症状を悪化させないようにする
- ヘルニアの手術をする
- 手術後も同じ。再発防止も兼ねて2〜5が大事
- 諦めない
手術後の再発予防や現在痛みに苦しんでいる人にとって大事なことは、病院や専門医だけに頼り切りではなく、しっかりと自分自身にできるケアをすることだ。
そうすることにより、痛みをなくすことができるだろう。