「医学的には冷感シップも温感シップも結果的には同じ」
「炎症をおさえるためには冷湿布だ」
「腰痛は温める方がいい」
腰痛の痛みを和らげるために、温湿布か冷湿布のどちらを貼ればいいか疑問に思うことは多いだろう。
しかし、情報がありすぎて結局なにが正しいか分からない。
このページでは、使い方の違い、効果が同じと言われる理由、そして結局はどちらの湿布をどのタイミングで貼ると適切な効果が得られるのかを説明している。
冷湿布と温湿布の違いは最初の血流循環
冷湿布の効果
冷湿布は患部周辺を冷やし、血管を収縮させることで血流量の低下を起こす。これにより、炎症期の増悪を防ぎ、急性疾患の消炎鎮痛作用をもたらす。
温湿布の効果
温湿布は冷湿布と違い、患部の周辺を温めることで血管を拡張させ、血液の流れを改善させる。それに伴い、筋肉のコリをほぐし、鎮痛作用をもたらす。
違い
どちらの湿布も鎮痛消炎剤など同じ成分が含まれていることはあるが、違いは明らかで単純に「冷やす」か「温める」かである。
しかし、なぜ冷湿布も温湿布も「効果は同じ」と言われるのだろうか?
どちらの湿布も同じと言われる理由
冷湿布は患部を冷やして血管を収縮させることで、消炎鎮痛作用があると上記した。この効果は持続的なものではなく、一定の時間が経過すると、今度は体を守るために血管拡張が起こり血流量は増加する。
つまり一度は血流量は低下するが、その後は増加に転じ二次的血管拡張が生じる。
これは体の自然な反応と思ってもらうといい。
冷湿布の場合は極端に体を冷やしすぎることはないが、体は凍傷などのおそれに反応して体温を高めようとする。
結果的に冷湿布を貼っても、最終的には温湿布と同じで血液の流れをよくする働きがある。
これが「冷湿布も温湿布もどちらも同じ」と言われる理由なのだ。
次に腰痛の症状によってどちらの湿布を貼ればいいか説明する。
腰痛のときに貼る湿布は?
考え方は、冷湿布と温湿布を貼ったときに、どちらが心地よく感じるかだ。
「そんな適当でいいの?」と疑問もあるだろうが、心地が良いということは、それを体が求めているということ。「体がどう感じるか?」という判断が大事なのである。
しかし、判断がつきにくい場合は下記を参考にしてほしい。
ぎっくり腰や激しい運動で腰を痛めたときは冷湿布を貼る
ぎっくり腰(急性腰痛と診断されたとき)や、打撲など患部が熱を持っているときは炎症をおこしているので、この場合は冷湿布を貼ろう。
- 坐骨神経痛の場合
-
坐骨神経痛の場合は冷湿布は貼らないようにしよう。
冷やすことで血の流れが悪くなり、痛みが悪化することがある。
冷湿布(シップ)以外で効果が得られるもの
アイスノンをハンカチなどで巻いて使おう。ただし、冷やす過ぎには注意が必要。定期的に感覚の有無を確認し、無くなっている場合は終了する。
慢性腰痛などで腰が痛いときは温湿布を貼る
病院や整体院に通い慢性腰痛と診断された場合、腰の痛みがひかない場合は温湿布を貼ろう。
ただし、腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛や足のしびれは、湿布では治らないので注意。
温湿布(シップ)以外で効果が得られるもの
また湿布が手元にない場合はカイロなども有効だ。
濡れたタオルを電子レンジで温めて使うのもいいだろう。
市販の温湿布
フェイタスシップ温感など。
抗炎症・鎮痛効果のある成分の「フェルビナク」が痛みの原因を抑制する効果が期待できる。
まとめ
冷湿布は患部周辺の血管を収縮させるが、一定期間経つと温かい湿布と同じで血管を拡張させる。
腰痛のときに貼る湿布の選択は、貼ったときに心地良いかどうかの判断が大事。
ただし、その判断がつきにくい場合は、ぎっくり腰などの急性腰痛の場合は冷湿布。慢性的な腰痛の場合は温湿布を貼ろう。
また、腰の痛みは湿布で一時的に対処できても日常生活に原因がひそむ場合は根本的な改善が必要だ。
腰痛の原因と、悪化させない対策例なども参考していただければと思う。